コンサルタント秘伝の5つの思考法+1
コンサルタントを始めて15年以上。
特に磨かれたものは、「思考法」、いわゆる「考える技術」である。
個人的に、考える力は技術によって鍛えられると考えている。
思考法とは、物事の問題を解決したり、新しいものを創造するためのプロセスやフレームワーク、視点を総合して言っていることが多い。
中でも私が使えると思う思考法が5つある。
1)ロジカル思考
これはかなり一般化したので、特に語るつもりはないが、
MECEという考え方と二項対立さえ頭に入れておけば大して難しい思考法ではない。
使えば使うほど、ロジカルに物事を切ったり、整理したりすることができるようになる。基本はロジックツリーをスイスイと作れるようになれば問題ない。
2)メタ思考
実のところロジカル思考にも必要な要素である。
要は、具体的事象をどのように抽象化・概念化し、汎用的なフレームに整理しておけるかということである。具体的事象を抽象化・概念化できると数多く現れる具体現象がどういう因果関係であるかがより早く、綺麗に理解できるようになる。
複雑な事象を整理するにはメタ思考が必須である。
3)アナロジー思考
メタ思考と併用することで、物事を応用することにつながる。
要はある領域で起きている具体的事象を抽象化・概念化し、それを他の領域に当てはめる。そしてその概念をその領域における具体的なものに分解する。
これにより、記憶や経験というものを抽象化・概念化し転用・応用できる幅が格段に向上する。あらゆる事象のパターン認識やはめ込みが可能となり、格段に解決力や創造力が上がる。
4)コンテクスト思考
論理ではなく、目的に対する共鳴や価値観に対する共感を元に、答えを導き出す方法である。また、内容そのものだけではなく、その前後の背景に着目し、どのように物事をうまく組み立て、伝えるかを考えていくことである。端的に言えば、論理思考が「納得感」や「合理性」といったことで解を作り上げるのに対し、コンテクスト思考は「面白さ」や「情緒・感情」に着目する。さらには、論理思考が「正しく分けること」を武器に整理していくことに対して、コンテクスト思考は「つなげること、融合すること」を目指して解を導く。
5)循環思考
構造変化させ、創造していくためには循環して物事が相乗効果を発揮しあい、AがよければBがよくなり、BがよくなればCが良くなる。Cが良くなることで全体がおおきくなり、Aがより良くなることにつながるという正の循環サイクルを作り出すという視点である。新しいことが生み出し、継続していくために循環思考で物事を捉えていくことが求められている。
これらの思考法をうまく駆使して、どのようなテーマにおいても
正しく、創造的な問いと答えを導き出せる価値を身につけられたのではないかと思う。
もう一つ、今、コンサルタントに欠かせなくなってきてる思考法がある。
6)デザイン思考
カルフォルニアに本拠地を置くIDEOなどに代表される、デザイン思考だ。
テクノロジーの進化が激しい現代の世の中においては、過去の事象から線形的に未来を予測し、最適解を導き出すことが極めて難しくなっている。このような不確実性を前提とした最適解を導き引き出す手法としてデザイン思考というアプローチが注目を浴びている。
そして、このデザイン思考アプローチのスタートポイントとなるのが、Human Centric Designである。人間の深層心理や言語化されていない無意識のレベルまで観察と洞察を繰り返し、共感という心と心の呼応を始点とする。そして、そこから導き出された発想・アイデアをいち早くプロトタイプにして、検証する。これらを高回転で何度も繰り返すことで、最適解に近づく。
要は、これまでのように、じっくり時間とお金をかけて、全体を分析して構想し、確度高く当たりそうなところに一気に投資をするといった方法ではなく、何が正しいかわからないから、目の前のものを深く観察し、「もしかして」というものを試しながら、答えに近づく。
これから企業は、デザイン思考で事業戦略を実現させていく組織に変えていかなければならない。いち早く試行と検証を高速回転できる、一度や二度の失敗を許容する組織に変化しなければならないのである。
これら6つの全てに共通するのは想像と妄想する力。
夢見る少女が一日中、物語の中に入り込めるぐらいのイマジネーションと観察力が必要である。
教科書に書いてあることを一生懸命覚えてテストでいい点数を取るという教育では計れない力だ。
「頭が良い」の定義は明らかに変わってきた。
そこんとこ、忘れないでおこう。